東日本大震災10年の軌跡
101/152

記憶と経験を次代に継ぐ第10章商工会議所による復興に向けた要望・提言6.震災からの復旧・復興に向けた重点要望■要望日2011年11月28日■要望者宮城県商工会議所連合会■要望先安住財務大臣、宮城県内選出国会議員 3月11日に発生した東日本大震災は、東北から関東にわたる広い範囲に甚大な被害をもたらした。第三次補正予算が臨時国会で成立し、被災者の生活環境も徐々に改善されつつあるものの、復興はまだ途についたばかりであり、産業の復興、特に地域を支える中小企業の復旧・復興は大幅に遅れている。とりわけ宮城県沿岸部では、本県経済の特色をなす農林水産業や水産加工業の早期再生が喫緊の課題となっている。 以上のような観点に立ち、我々は、震災からの早期の復旧・復興について、下記のとおり強く要望する。記1.復旧・復興事業の着実な実施のための 継続的な予算額の確保 宮城県では、県内における今後10年間に要する復旧・復興事業費を市町村分も含めて現時点で13兆円と試算している。 被災地域の自治体が円滑な復旧・復興事業を行うことを通じて地域経済の再生を着実に進められるよう次年度以降も継続的な十分な予算措置を講じることを求める。2.水産業を取り巻く漁港機能の再建に関する支援拡充 本県経済の特色をなす農林水産業や水産加工業が立ち直らなければ、被災地の自立的再生は望めないことに鑑み、水産流通加工機能をはじめ、漁船の整備や食料の仕込みなどを含めた漁港機能全体の再建に向けた支援拡充を求める。①地盤沈下等の被害を受けた塩釜、石巻、気仙沼等特定第3種漁港の岸壁、魚市場、加工団地、周辺道路等の早期復旧②津波により被害を受けた漁船確保に向けた支援③冷蔵冷凍施設、フォークリフト・コンベヤー等の水揚げ機材、情報機器類の早期整備④漁船の整備や水・食料の仕込みなどを行う関連業種の早急な復旧⑤港背後地にある水産加工団地の共同化等による早急な復旧・整備⑥沿岸部における避難ビル機能を備えた工場整備に対する補助制度の創設3.インフラ整備の促進 地域の復旧・復興を実現するためにも、道路、鉄道、港湾、空港、堤防等の社会・産業基盤を早急に復旧・整備する。 特に、東北一円の物流・人的交流の要となる「仙台空港」と「仙台塩釜港」については、早期に従前の機能回復を図る。 高速道路については、災害時の代替機能をも含む物流機能の確保・救急医療の観点から、三陸自動車道や太平洋から日本海側へ横断するルートの未開通部分を含め、早期に整備する。また、道路整備は長期間にわたるものとなるため、将来にわたって十分な予算確保を図る。4.地域ニーズを反映した復興特区の創設 宮城県では、「復興まちづくり推進」、「民間投資促進」、「水産業復興」、「クリーンエネルギー活用促進」99

元のページ  ../index.html#101

このブックを見る