東日本大震災10年の軌跡
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第1部地道な情報発信で風化を防ぎ東北の復興を後押し3東北への会議誘致とあらゆる機会を通じた情報発信震災後、商工会議所では、あらゆる場面をとらえて被災地の今を伝えてきた。震災後は被災各地で大規模な会議が開催されることが増え、そのような場も最大限活用した。商工会議所で受け入れてきた代表的な会議としては、「アジア商工会議所連合会(CACCI)との懇談会」、「日本・チリ経済委員会」、「日韓商工会議所首脳会議」といった国際会議(いずれも2013年)、日本商工会議所関連では、移動常議員会(2011年・福島市、2013年・山形市、2014年・いわき市)や女性会連合会全国大会(2013年・仙台市)、観光振興大会(2013年・盛岡市)などがある。中でも特に大規模だったのが仙台で開催した女性会連合会の全国大会で、3,500人にのぼる参加者に、仙台市内だけでなく県内各地を視察してもらいながら被災地の現状を伝えた。また、震災前ではあるが、発災直前の2011年2月には青年部でも参加者約4,000人という規模の全国大会みやぎ・仙台大会を開催しており、準備の過程も含めて全国の青年部メンバーと深い関係値を構築していた。こうした女性会や青年部の全国ネットワークは、情報発信だけでなく、物資供給などさまざまな面で被災地支援の大きな力となった。被災地の現状を見たい、防災・減災対策を学びたいなどという理由から各地からの視察も急増した。その数は当所が対応したものだけでも3年間で70以上、10年間で100件に達した。東北の現状発信のために、鎌田会頭も積極的に各種会議・催しに出席し、時に海外へも足を運んだ。震災1年目には、日本・東京商工会議所の訪インド経済ミッションに参加し、被災直後の東北の様子を伝えた。2019年には日中経済協会・日本商工会議所・日本経済団体連合会合同訪中団に参加し、李克強首相ら政府首脳に、10都県におよぶ輸入規制措置の解除・緩和を直接訴えた。日韓商工会議所首脳会議には、2013年の仙台開催時から毎年出席して、両国の政治情勢の悪化等により2017年の富良野開催を最後に中断されるまで(2020年現在)、韓国経済界のトップに対し東北の復興状況を直接発信した。東北観光推進機構が2016年から実施している東北6県知事らをはじめとしたトップセールスには、2018年の大連、2019年のタイ・バンコクに連続して参加した。そのほか、全国から各地の経済界トップが集う日本商工会議所総会の場においても、毎年、復興の現状を報告している。加えて、日本商工会議所、全国の商工会議所から日商の岡村会頭(当時)へ感謝状を贈呈(2012年3月15日)。2013年には仙台在住の画家である、小野寺純一氏作「東北六魂祭」の絵画も贈った。中国訪問で李克強首相と握手を交わす鎌田会頭。政府首脳に農水産・食品の輸入規制撤廃・緩和を訴えた(2019年9月19日)。仙台商工会議所 東日本大震災 10年の軌跡78

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