東日本大震災10年の軌跡
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記憶と経験を次代に継ぐ第10章商工会議所による復興に向けた要望・提言2011年4月21日に行われた日本商工会議所議員総会後に行われた記者会見で、鎌田会頭が以下の通り全国に向けて支援を求めた。※以下、鎌田会頭の発言要旨。この度の東日本大震災では、被災地商工会議所に対し、日本商工会議所をはじめ各地の商工会議所や女性会、青年部の皆さまはもちろん、全国、さらには全世界の皆さまからも、多くのご支援、心温まるご声援を賜わり、言葉では言い尽くせない感謝の気持ちで一杯だ。また、岡村会頭には、いち早く日本商工会議所内に「復旧・再建支援本部」を設置いただき、全面的な支援をいただくともに、多忙の中、4月12日、13日の2日間にわたり、福島、原町、相馬、仙台、石巻の被災地の視察や懇談を通じ、窮状を汲み上げていただいた。3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、被災地における生活基盤、経済基盤、社会インフラ機能などは根こそぎ喪失し、その被害の全容は今なお把握できない状況にある。こうした被害の大半は、津波に起因しており、全てのものを押し流す津波は、これまでの地震のみによる災害とは本質的に異なる。私も津波の被害が甚大な気仙沼、石巻、塩釜などを視察したが、今回の被害に対しては、従来の枠組みを越えた超法規的な国の支援が必要であると痛切に感じた。また、未だ収束の見通しが立たない福島原発事故は、我が国史上最悪の原子力事故となり、放射性物質の放出による健康被害への不安をはじめ、農水畜産物の出荷・摂取制限や風評による損害、さらには企業活動の停止や観光客の大幅な減少など産業全体への影響も深刻化しており、早期収束を願っている次第だ。一方、被災地には、震災直後より、国籍や官民を問わず、多くの機関や人々が支援に駆けつけ、災害対応、復旧・復興対策にあたっていただいている。お陰様で、地震から1カ月が経過した今、東北の空の玄関口である仙台空港が部分的ではあるが再開するに至り、大型連休中には東北新幹線も新青森まで全線再開される予定で、復興に向け、一歩ずつ前進していることを実感している。しかしながら、地域経済が復興しなければ、本当の復興はあり得ない。そのためにも、まずは、皆さまのご協力をいただきながら、全国的に広がる過度の自粛ムードを払拭しなければならないと思っている。経済活動の停滞は、被災地の復興の妨げにもなりかねない。被災地に遠慮せず、従来同様、消費活動を行っていただき、社会・経済を活性化いただきたいと思っている。そして東北地方の産品を消費いただくよう、全国の皆さまにお願い申し上げる。仙台においては、毎年8月に開催している「仙台七夕まつり」を実施する。規模は縮小しつつも、七夕の2.鎌田会頭による日本商工会議所記者会見での東日本大震災支援に関する発言拭するため、迅速かつ継続的な対応を図られたい。5.早急な復興を図るため、災害復興支援補助金交付などの特例措置を講じられたい。6.想像を絶する未曾有の災害復旧・復興のための2011年度補正予算の検討を早急に着手されたい。さらには地域と産業の再生に向けて、秩序ある総合的な復興対策を進めるため、激甚災害指定による復旧支援等の既存の制度にとどまらず、特別法の制定等従来の枠を越えた支援をされたい。さらには、各地域においても復興に向けた特別施策などを制定されたい。91

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