東日本大震災10年の軌跡
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第1部(5)汚泥•海中災害廃棄物処理の早期完了津波により発生した汚泥・海中災害廃棄物は、被災地域の復興に大きな妨げとなる。早期に指針を策定し国家予算を拡充して、迅速な処理を図るべきである。(6)新しいまちづくりへの取り組み支援国は、県や市町村等の要請に基づき、計画策定に係る専門家の派遣などの支援を行うとともに、計画的なまちづくりの阻害要因となる土地の権利調整の解決策を示すべきである。また、経済界、市民、NPO等の地域関係者が主体となってまちづくりを行う仕組みを構築することが必要である。2.中小企業の再生支援について(1)二重債務問題の解決事業資産を消失し、再起を目指す事業者に係る金融機関やリース事業者の債権を公的機関が買い取る「債権買い取りスキーム」を速やかに構築し、国または日銀などが買い取り機関を創設するとともに、既往債務負担の軽減や新規借入が行われるような一体的な仕組みをあわせて創設することが必要である。(2)仮設工場・仮設店舗等の建物の早期建設仮設工場・仮設店舗の建設については被災事業者から多くの要望が寄せられている。士地の提供等を申し出る者があるにもかかわらず、建設が大幅に遅れている現状もあることから、土地の確保を含め、手続きの簡素化・迅速化を講じるべきである。(3)被災事業者の事業再開に向けた取り組みに対する補助(施設・設備の復旧・整備に対する補助)被災地域の復興のためには、地域経済の復興や雇用確保に大きく貢献する中小企業等の早期再生が不可欠であることから、中小企業等のグループによる施設・設備の復旧・整備に対する補助制度を更に拡充するなど、被災事業者の事業再開に向けた取り組みに対する支援の充実を望む。(4)被災事業者の工場、店舗、事業所等の設備に対する支援被災事業者における早期の事業再開には、新たな機械設備・車両等の確保が不可欠であるため、全国の遊休機械等を被災地に無償または低価格にて提供する仕組みを早急に構築するとともに、輸送・据付・維持・保全・整備等の費用に対する公的助成の制度を創設すべきである。3.福島原発事故に関する各種支援について(1)早期収束が復旧・復興の絶対条件関係者の懸命の努力に敬意を表するとともに、引き続きあらゆる手段を講じ、事態の早期収束を図られたい。(2)直接的被災地への支援放射能汚染による直接的被災地の再生にあたっては、国の全面的な支援のもと、長期的な再生ビジョン(移転含め)の策定・推進を図るべきである。(3)放射能検査の迅速な対応水産物、農産物等における放射能検査は、最寄の検査機関であっても相応の日数を要することから、各協同組合や近隣の大学・研究機関等でも実施することにより、即日審査結果が出るよう迅速な対応を図られたい。(4)被災地域におけるアクセスの強化原発事故の影響で分断されている鉄道、道路網の早急な整備は、復興を支え、本来の経済活動に不可欠であるとともに、救急医療の機能も有することになることから、その整備は喫緊の課題であり、一刻も早い完成を図られたい。(5)風評被害対策のための支援原発事故近辺の地域では、放射能汚染問題は農水産物や工業製品のほか、入港漁船、観光客の減少など広範囲に及んでいる。放射能に対する偏見や風評被害防止のため正確な情報開示と積極的な呼びかけを仙台商工会議所 東日本大震災 10年の軌跡94

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